1.研究機関名  長岡技術科学大学
2.研究種目名  奨励研究A
3.課題番号   08750852
4.研究代表者  斎藤秀俊  長岡技術科学大学 工学部 助教授
5.研究実績の概要
 多元素系酸化物薄膜の新しい単結晶膜育成法として、本薄膜作製法は提案された。本法の最大の特徴はエチレンジアミン四酢酸錯体
(edta)等の金属錯体を減圧酸素雰囲気中でエキシマレ−ザ−照射により蒸発させることである。蒸発した金属錯体は薄膜成長用単結晶基板上で分解し、単結晶の原子配列通りに含有している金属原子等を配列する。このようなエピタキシ−過程を利用することで、金属比の制御を行ないながら原子レベルで平坦な多元素系単結晶薄膜を作製することを目標とした。平成8年度中のこれまで、edta錯体を原料としてYBCO-123相酸化物薄膜の合成を行ない得られた試料を様々な手法によって評価した。X線回折法によれば、基板温度800 ℃以上でYBCO-123相(正方晶)の結晶が合成できることが明らかになった。このとき基板にSrTiO3(100) 単結晶基板を用いると、YBCO-123相はSrTiO3(001)//YBCO(001)SrTiO3(100) //YBCO(100) およびSrTiO3(010)//YBCO(010)の関係でエピタキシャル成長することもわかった。ICP 微量元素定量装置による元素分析の結果は、試料中の金属比は良好な組成転写性を示さないものの、組成制御性に優れていることを示した。走査型電子顕微鏡法および原子間力顕微鏡法によると、膜の平坦性はあまり良好ではなく改善の必要のあることがわかった。以上のように、現段階では錯体タ−ゲットを用いて多元素酸化物膜のエピタキシャル成長を行なうことができたものの、膜の表面の凹凸が激しいという問題点が明らかになっている。本法を光素子開発技術として応用するには、膜表面の凹凸を押えるためのさらなる改良が必要である。

 

c齋藤秀俊